「うちはバイトだから労働契約書なんて書かないよ」と言われていませんか?
これって違法なの⁈
「時給はとりあえず1,100円ね。シフトは適当にLINEで決めよう!」
飲食店や個人経営のショップ、あるいは小規模なオフィスなどで働き始める際、このように書面を一切交わさず、口頭のやり取りだけで仕事を始めさせられるケースがよくあります。
「バイトだし、個人経営だから仕方ないのかな…」とスルーしてはいけません。後から「聞いていた時給と違う」「勝手にシフトを減らされた」といったトラブルが起きた時、手元に証拠がない労働者が圧倒的に不利になってしまいます。
日本の法律では、雇用形態や会社の規模を問わず、労働者を雇う際には重要な労働条件を書面(または電子書面)で労働者に『交付』することが法律で義務付けられており、破れば会社側に罰則が科せられます。
逃げ隠れ厳禁!すべての雇用に適用される労働基準法第15条
「口約束でも契約は成立する」というのは民法の一般原則ですが、労働法では立場が弱い労働者を守るため、より厳しい義務を課しています。
- 【労働基準法 第15条(労働条件の明示)】:使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定めています。
- 【絶対的明示事項(書面交付が必須)】:以下の項目は、必ず『書面(または労働者が希望した場合はLINE・メール等の電子媒体)』で渡さなければならないと法律でガチガチに決まっています。
① 契約期間に関する事項
② 働く場所と仕事の内容
③ 始業・終業時刻、休憩時間、休日・休暇
④ 賃金の決定、計算・支払い方法、締め日・支払日
⑤ 退職に関する事項(解雇の事由など)
「書面を出さない会社」に科せられる罰則と労働者の特権
もし会社やお店が、これらの条件が書かれた書類(労働条件通知書や雇用契約書)を渡さなかった場合、どうなるのでしょうか?
① 会社への罰則:30万円以下の罰金
労働条件を明示せず、書面を交付しなかった場合、労働基準法第120条に基づき、会社(使用者)に対して30万円以下の罰金という刑事罰が科せられます。「知らなかった」では済まされない明確な犯罪行為です。
② 労働者の特権:即時契約解除(即日辞められる)
さらに恐ろしいことに、事前に口頭で聞いていた条件と、実際の労働実態が違っていた場合、労働者は「その日のうちに、予告なしで即座に仕事を辞めることができる(労働基準法第15条第2項)」という強力な権利が与えられています。通常必要な「退職の2週間前申告」すら不要になります。
契約書をくれない「ブラック職場」から身を守る3つの対策
口約束のトラブルに巻き込まれないために、今すぐ実践すべき正攻法です。
- 1. 働き始める前に「労働条件通知書をください」とはっきり要求する:「履歴書と一緒に保管したいので」「親(または扶養控除の確認)に見せる必要があるので」と言えば、角を立てずに請求することができます。
- 2. 口頭でのやり取りをLINEやメールの履歴に残す:どうしても書面を出してくれない場合は、店長とのLINEで「確認ですが、時給は1,100円、交通費全額支給、毎週月・水・金のシフトで間違いないでしょうか?」と送り、「そうだよ」という返信を確定証拠として保存しておきます。
- 3. 出してくれない場合は労働基準監督署(労基署)へ:「契約書を求めたのに拒否された」と労基署に相談(申告)すれば、労基署から会社へ指導が入ります。これにより、会社は重い腰を上げて書類を作らざるを得なくなります。
まとめ
「うちは契約書はない」というセリフは、労働基準法第15条を無視した完全な違法宣言です。雇用形態がアルバイトであろうと、1日だけの単発雇用であろうと、働く条件を書面で受け取るのはあなたの当然の権利です。
後から「そんな約束はしていない」と裏切られないために、必ず証拠を形に残すよう徹底しましょう。正しい法律の知識を武器に、クリーンで安心な労働ライフを掴み取ってください!
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